お陰様でお客さまからよくりんごの感想を頂くことがあります。
こんなにおいしいりんごを食べたことがない
そう言っていただけると私どもとしてもとても嬉しい気持ちになります。りんご栽培をしていてよかったなと思います。
しかし、こんなおいしいりんごを食べたのは初めてということは裏を返せば今までおいしいりんごを食べたことがないのではないか?
もちろん、りんご栽培においておいしくなる努力をしているからだと自負をしていますが、ちょっと引っかかるところです。
他のりんご農家はおいしいりんごを栽培していないのだろうか?ということを思ってしまいます。
それではそうなってしまう原因はどういうところにあるだろうか?生産者が問題なのか?
生産者だけが問題というよりも、構造に問題があるのではないかと思います。
りんごは生産者から消費者に届くまでにいろんなところを経由していきます。
生産者→地元市場→消費地市場→量販店、スーパー、小売商
消費者に届く間に少なくても2~3つの組織を経ていくので、最終的に誰が栽培したりんごなのかわからなくなっている。昔は私もJAに大部分出荷していたので、誰に届いているかなんて全く分かりませんでした。
JAになれば共撰ということで、地元のいろんな生産者のりんごが一緒になって送られるので、さらにわからなくなります。
日本の縦社会の構造とよく似ていますが、いろんな組織を通過することによって責任が曖昧になってきてしまいます。生産者の意識もどこに、いつ出荷されていつ頃消費者の元にとどいているのか分からなくなっている状態です。
一般消費者に届くころには、産地の表記はあると思いますが、誰がいつ収穫したのかどういう保存状態なのかがわからなく購入に至っていると思います。
そこが日本の流通の限界
大量に物を裁くにはこれが最良の方法だったのですが、味を考えたらこの流通の仕方では難しいということです。
でも、一番は生産者がいつどこで収穫したのかはよく把握しているわけですから。どのりんごがおいしいのかもよくわかっているので生産者の意識が変われば味も変わってくると思います。
私もりんご農家として責任があるので、何かしていきたいなと思っています。
園主 顕太朗