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市場ではうちのりんごは評価されない

中川果樹園は個人のお客様一人一人に支えられて営んでいます。しかし、市場やJAからは評価されませんでした。それがなぜなのかをお伝えしていきます。ちょっと長くなります。

私が就農した頃のりんごの販売先は
JA 80%
個人 20%
でした。大半をJAに出荷していました。

市場関係者の方と話す機会があり、どうやったらりんご高単価で販売できるようになりますか?と質問したときに返ってきた言葉が

中身より外見です

赤く、形の良いものが売れるからそういうものを作ってください。

これを言われたときは衝撃を受けました。りんご農家としてはおいしいりんごを食べてもらいたいと思って栽培しているのに、おいしいかどうかはあまり重要ではないと言われてとても悔しい思いをしました。

そんなところには絶対に出荷しないと思いました。しかし、後で市場の方が言った意味がよく分かる出来ことがありました。

それからは自分で販売先を決めて営業をして業者に販売することにしました。

私→業者→スーパー

この流れで販売できるので、販売手数料が少なくなり手取りの収入が上がりました。しかし、スーパーの方から言われてことが

あなたのりんごは売りにくい

なぜ?
リピーターは付くので喜ばれるのですが、初めての方は買いにくい。

 

よく話を伺うとスーパーにはりんごのコーナーがあり、うちのりんごと青森産りんごと長野県産りんごが並んでいたのです。3つの産地の競争になっていて、うちのりんごが一番売れなかったそうです。

味見が出来るわけでもなく、外見でりんごを選ばざるをえないので、赤く形のいいものを消費者は選んで買っている。

そこで、市場関係者から言われた一言”中身より外見です”の意味がよくわかった瞬間でした。

JAや市場が悪いわけではなく、今の流通では消費者がりんごの中身を判断できる仕組みになっていないんだなということが理解できました。

なので、今のりんごの栽培は色づきがよく、形がいい系統や品種の開発が躍起になって行われています。ふじの品種の中でも、色んな系統があり色づきがよくなるものを追い求めている傾向があります。

色づきがいいので、りんご農家の間でも昔より熟期がわかりずらくなっているということがあります。なので完熟する前に収穫して出荷してしまうことも。

さらに、JA・市場出荷の場合は早く出荷した方が単価が高いので、収入を考えると早く収穫して早く出荷したくなってしまいます。なので、おいしいりんごが流通しにくい要因です。

そんな中、うちのりんごは昔からある”普通ふじ”と呼ばれるもので、色づきは赤というよりもピンク、りんごの肌がざらついています。現代のりんご栽培から逆行し、

うちのりんごは市場から評価されないのです。

でも長い目で見た時に、このまま赤いりんごを追い求めていく限り、りんごの裾野は広がっていかないことを感じます。

お客さまからよく言われるのが、

スーパーのりんごはおいしくないのよね。

だから、そちらのりんごが来るまで我慢している。

せっかくりんごを好きになってくれているのに、その要望に応えられていないりんごの流通と品質であるということを表しています。

目先の利益を取るのか、将来を見据えてりんご栽培をするのかりんご農家が考えないといけない課題だと思います。

園主 顕太朗

園主中川顕太朗のプロフィール

 

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