中川果樹園には樹齢70年を超えるりんごの樹があります。
だいたいうちの父と同じくらいの年齢です。
祖父が戦後すぐに植えたりんごの樹で、当時を考えるとよくそんな時に植えたなと思います。食べるものもない中で、りんごの樹を植えてもなるのは5年後、成木になるには10年はかかるようなものをその当時に植えたということはなかなか出来ないことだと思います。
私が就農したときは、父から「俺と同じ歳だ」、「なかなか大きくならないし、だんだん弱っていっているんだ」と聞かされていました。
しかし、栽培して数年経ってわかったことは
そんなにりんごは大きくならないけれど、ある程度成らせる量を少なくすれば大きくなるなと分かってきました。
さらに、完熟すると他のものよりもちょっと美味しい気がする。と思うようになりました。
身が締まって濃厚な味わいなるということが分かってきました。
ただ、樹齢70年にもなるといろんなところにガタが来ています。
数年前の大雪で、幹が真っ二つに割れてしまったり、
枯れこみが入って中が空洞になっていたり、
いつ倒れてもおかしくないような状態です。
一時期は、大玉にならないし、大木になって管理が大変だから倒そうかなと思ったときもありました。今は、中川果樹園にとって、
大事な資産
だなと思うようになってきました。70年前、祖父はそこまで考えてはいなかったと思いますが、今となってはだいじなりんごの樹となっています。
園主 顕太朗